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親族相続法の私家版復習ノート
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 第3節 遺言の効力


  
第985条 (遺言の効力の発生時期)

① 遺言は、
 遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

② 遺言に停止条件を付した場合において、
 その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、
 遺言は、
 条件が成就した時からその効力を生ずる。


・ 遺言者が死亡する以前に条件が成就している場合は、
 無条件に効力を生ずる。

・ 遺言は意思表示であるから、
 解除条件、期限をつけることも可能。

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  第986条 (特定遺贈の放棄)

① 受遺者は、
 遺言者の死亡後、いつでも、
 遺贈の放棄をすることができる。

② 遺贈の放棄は、
 遺言者の死亡の時にさかのぼって
 その効力を生ずる。


・ 特定遺贈の放棄とその効力についての規定。
 特定遺贈とは、
 目的物と財産的利益の特定がなされた遺贈。

・ 遺贈は、
 遺言者の死亡によって当然に効力が発生するが、
 受遺者の意思を無視して強制されるべきではないから。

・ 遺言者の死亡後であれば、
 いつでも放棄することができるし、
 方式も定められていないが、
 承認・放棄の意思表示は、
 遺贈義務者にすべきものとされている。

  第987条 (受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告)

遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう)その他の
利害関係人は、
受遺者に対し、
相当の期間を定めて、
その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告を
することができる。
この場合において、
受遺者がその期間内に遺贈義務者に対して
その意思を表示しないときは、
遺贈を承認したものとみなす。

 

・ 986条が遺贈の承認および放棄の期限を定めていないため。

・ 遺贈義務者
 (相続人、包括受遺者、相続人不存在の場合の相続財産法人)や
 利害関係人
 (遺贈義務者の債権者、後順位受遺者)などが
 妥当な期間を定めて催告をし、
 その期間内に受遺者が承認又は放棄の意思表示をしない場合は、
 遺贈を承認したものとみなされる。

  988条 (受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄)

受遺者が
遺贈の承認又は放棄をしないで死亡したときは、
その相続人は、
自己の相続権の範囲内で、
遺贈の承認又は放棄をすることができる。
ただし、
遺言者が
その遺言に別段の意思を表示したときは、
その意思に従う。


・ 特定遺贈の場合で、
 受遺者が承認、放棄の意思表示を行わないまま
 死亡した場合の規定。
 受遺者の相続人が、
 受遺者に対する相続分の割合で
 その特定遺贈に関する権利を受け継ぐ。

  第989条 (遺贈の承認および放棄の撤回及び取消し)

① 遺贈の承認および放棄は、
 撤回することができない。

② 第919条第2項及び第3項の規定は、
 遺贈の承認および放棄について
 準用する。


・ 919条(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)

・ 承認、放棄は単独の法律行為であり、
 撤回をすることは、法律関係の安定を害する。
 しかし、
 意思表示としての欠陥がある場合
 (意思の欠缺、瑕疵、制限行為能力者)
 には、取消権を行使できる。

・ 取消権を行使できる時から6カ月で消滅時効。
 承認及び放棄の時から10年が除斥期間に。

  第990条 (包括受遺者の権利義務)

包括受遺者は、
相続人と同一の
権利義務を有する。

 

・ 包括受遺者は相続人と同じ法的地位にあるから、
 他の包括受遺者や相続人と共同相続する関係になる。
 法人も包括受遺者となり得る。

・ 包括受遺者の承認・放棄の手続きは、
 特定遺贈のそれ(986~989、991)ではなく、
 相続に関する規定が準用される。
 つまり、三箇月以内。

遺言作成支援・相続手続き支援@福岡

    第991条 (受遺者による担保の請求)

受遺者は、
遺贈が弁済期に至らない間は、
遺贈義務者に対して相当の担保を請求することが出来る。
停止条件付きの遺贈について
その条件の成否が未定である間も、
同様とする。


・ 特定遺贈に関する規定。

・ 遺贈義務者は、相続人であるが、
 遺言執行者が指定或いは選任されれば、遺言執行者。

・ 相続人や包括受遺者などの遺贈義務者に対し、
 受遺者の権利を守るために
 弁済期に至るまでの担保を請求できる。

  第992条 (受遺者による果実の取得)

受遺者は、
遺贈の履行を請求することが出来る時から
果実を取得する。
ただし、
遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、
その意思に従う。


・ 遺贈の目的物が、
 賃貸中の不動産、現金、債権、株式などの場合で、
 賃料、利息、配当金などの果実を生じる場合。

・ 遺言者死亡の時あるいは、
 期限付き遺贈の場合期限到来の時、または、
 停止条件付遺贈では条件成就の時
 から。

・ 遺贈の履行を請求することができる時から、
 遺贈義務者がその果実を取得していた場合は、
 受遺者にそれを引き渡す債務を負担する。
  それを怠った場合には、
 履行遅滞(412条)。

  第993条 (遺贈義務者による費用の償還請求)

① 第299条の規定は、
 遺贈義務者が
 遺言者の死亡後に
 遺贈の目的物について費用を支出した場合について
 準用する。

② 果実を収取するために支出した通常の必要費は、
 果実の価格を超えない限度で、
 その償還を請求することが出来る。


・ 299条(留置権による費用の償還請求)

① 留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、
 所有者にその償還をさせることができる。
② 留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、
 これによる価格の増加が現存する場合に限り、
 所有者の選択に従い、
 その支出した金額または増加額を償還させることができる。
 ただし、裁判所は、
 所有者の請求により、
 その償還について相当の期限を許与することができる。

  第994条 (受遺者の死亡による遺贈の失効)

① 遺贈は、
 遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、
 その効力を生じない。

② 停止条件付きの遺贈については、
 受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、
 前項と同様とする。
 ただし、
 遺言者が
 その遺言に別段の意思を表示したときは、
 その意思に従う。


・ 特定遺贈・包括遺贈ともに
 遺贈は、遺言者が受遺者その人に注目してなす
 財産処分行為であるから、
 受遺者が遺言者よりも前に死亡すると
 遺贈は効力を生じず、
 その受遺者の相続人はその地位を相続しない。



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