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親族相続法の私家版復習ノート
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 第5節 遺言の撤回及び取消し


  
第1022条 (遺言の撤回)

遺言者は、いつでも、
遺言の方式に従って、
その遺言の全部又は
一部を撤回することができる。


・ 遺言の撤回には何らの理由も必要ない。
・ 相続人や受遺者が遺言の内容を知っていても、
 その者の了解などを得る必要もなく、
 自由に撤回することが出来る。

・ 撤回は、遺言の全部でもその一部でも差支えない。
・ 法定の方式であればどの方法でも構わない。
 ex.
 公正証書遺言の一部あるいは全部を
 自筆証書遺言によって撤回すれば、
 前にした公正証書遺言の撤回された部分は無効。

 

久しぶりに更新です。

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  第1023条 (前の遺言と後の遺言の抵触等)

① 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、
 その抵触する部分については、
 後の遺言で前の遺言を
 撤回したものとみなす。

② 前項の規定は、
 遺言が遺言後の生前処分その他の
 法律行為と抵触する場合について
 準用する。


・ 遺言は遺言者死亡の時の最終の意思であるから、
 内容が矛盾する二つの遺言がる場合には、
 後の遺言の内容が最終意思と推測される。

・ 遺言内容と矛盾する生前処分をしたような場合には、
 このような行為をする遺言者が、
 前の遺言を撤回する意思をもっていると推定する。

  第1024条 (遺言書又は遺贈の目的物の破棄)

遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、
その破棄した部分については、
遺言を撤回したものとみなす。
遺言者が故意に
遺贈の目的物を破棄したときも、
同様とする。


・ 例えば、
 遺言中の文字を抹消した場合に、
 もとの文字を読み取ることが出来る程度の抹消では
 破棄ではなく、遺言の訂正であるが、
 それは一定の形式を備えなければ、
 もとの文字が効力を持つ。
 (968条2項、970条2項、982条)

・ 遺言者が依頼もしない第三者が、
 遺言書を破棄していることを知りながら放置している場合は、
 遺言者が破棄したとみなす。

・ 公正証書遺言の破棄については、
 遺言者が自分の手元にある正本を破棄しても
 撤回の効力はなく、
 原本を破棄した場合に限られる。

・ 遺言者が故意に遺贈の目的物を焼却したり、
 その他の方法で経済的価値を無くしてしまった場合、
 その部分は、同様に破棄されたものとみなす。
 しかし、
 依頼されない第三者が破棄した場合に、
 遺言者がその第三者に対して
 賠償金などを請求する権利を有する場合は、
 その権利が遺贈の目的とされたと推定される。
 (999条 遺贈の物上代位)

  第1025条 (撤回された遺言の効力)

前3条の規定により撤回された遺言は、
その撤回の行為が、
撤回され、取り消され、又は
効力を生じなくなるに至ったときであっても、
その効力を回復しない。
ただし、
その行為が詐欺または強迫による場合は、
この限りでない。


・ 遺言の撤回、
 遺言内容の抵触、
 遺言書・遺贈目的物の破棄
 の規定により撤回された遺言は、
 「撤回の遺言を撤回します」という
 意思表示がされたような場合であっても、 
 有効な遺言に戻るわけではない。

 ただし、諸説あり。

  第1026条 (遺言の撤回権の放棄の禁止)

遺言者は、
その遺言を撤回する権利を
放棄することができない。


・ 遺言者が遺言を撤回する権利を常に保有しているのは、
 遺言制度が遺言者の最終意思を尊重し、
 法的効果を与えることを目的とするから。

  第1027条 (負担付遺贈に係る遺言の取消し)

負担付遺贈を受けた者が
その負担した義務を履行しないときは、
相続人は、
相当の期間を定めて
その履行の催告をすることができる。
この場合において、
その期間内に履行がないときは、
その負担付遺贈に係る遺言の取消しを
家庭裁判所に
請求することができる。

 

・ 負担のうちの一部だけが履行されたような場合、
 その一部の履行だけでは遺言の目的を達成することが出来なければ、
 遺言の取り消しが認められる。
 取り消しが認められれば、
 遺贈は最初から無効となり、
 負担付遺贈の受遺者がもらえるはずであった財産は、
 相続人に帰属する。



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