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親族相続法の私家版復習ノート
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    第7章 扶養

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扶養制度

・ 扶養は、自分の資力や労働力で生活を維持できない者に対する
 生活上の援助(経済的給付)であり、
 公的扶助と私的扶助に分けられる。

・ 公的扶助は、
 憲法25条(生存権)により制定された生活保護法が代表的なもの。
 その他、児童福祉法や各種保険法、各種年金法など。

・ 私的扶養は、
 民法に規定された扶養のこと。

・ 一般的に扶養と呼ぶ場合は、民法上の扶養のことであり、
 公的扶助は、社会保障制度として取り扱われる。

・ 社会保障が完備していない現状では、
 否応なしに私的扶養へ依存せざるをえない。

 

生活保護法との関係

・ 生活保護法は民法上の扶養が優先するものとしている・・・

 

民法上の扶養の3パターン

1. 夫婦間(752)および親の未成熟子に対する扶養(877-1、820)
2. 未成熟子以外の直系血族および兄弟姉妹間の扶養(877-1)
3. その他の三親等内の親族間の扶養(877-2)

1と2は、当然に扶養義務が課せられる(絶対的扶養義務)
3.は、家庭裁判所の審判により生じる。

一般に、
1.は生活保持の義務とされ、2.3.は生活扶助の義務とされる。


生活保持義務

・ 最後に残った一つのパンを分けて食べる関係。
・ 自己の生活程度と等しく、生活の全面的保持。


生活扶助義務

・ 自己の地位相応な生活を犠牲にすることなく、
 余力があるときに生じる義務。
・ 一つのパンしか持たない夫婦は、
 それを兄弟に分けてあげなくても良い。


実際には、1~3.について、
機械的に処理するものではなく、弾力的に考える必要がある。

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  第877条 (扶養義務者)

① 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

② 家庭裁判所は、
 特別の事情があるときは、
 前項に規定する場合のほか、
 三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

③ 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、
 家庭裁判所は、
 その審判を取り消すことができる。


・ 扶養義務者の範囲について規定した条文。

・ 直系血族および兄弟姉妹は、
 法律上当然に扶養義務がある。
・ その他の三親等内の親族は、
 特別の事情がある場合に、審判によって扶養の義務が生じる。


・ 法定血族である養子も、直系血族と同様である。
・ 生理的父子関係が認められる以上、
 嫡出子と非嫡出子の別もない。
・ 氏が同一であるか否かも問わない。

・ 普通養子は、実方の父母に対する扶養義務を免れない。
・ 特別養子と実親との扶養義務はない。


三親等内の親族

・ 嫁、婿と舅、姑
・ 子と父の後妻、または母の後夫
・ 認知された非嫡出子と親の配偶者(一親等の直系姻族)
・ 自己と配偶者の兄弟姉妹(二親等の傍系姻族)
・ 自己とおじ・おば、おい・めい(三親等の傍系血族)
 など

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  第878条 (扶養の順位)

 扶養をする義務のある者が数人ある場合において、
扶養をすべきものの順位について、
当事者間に協議が調わないとき、
又は協議をすることができないときは、
家庭裁判所が、これを定める。
 扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、
扶養義務者の資力が
その全員を扶養するに足りないときの
扶養を受けるべき者の順序についても、
同様とする。


・ 基本は当事者間の話し合いによる。
 それが調わない場合には、家庭裁判所の審判で決める。

・ 負担は必ずしも一人に限られる必要はなく、
 数人で分担しても良い。

・ 三親等内の親族間の扶養について、
 当事者の話し合いで決めたとしても、
 一つの扶養契約にすぎないから、
 家庭裁判所の審判により決すべきである。

・ 扶養権利者(要扶養者)の順位は、一般的には、
 未成年者→配偶者→直系尊属→兄弟姉妹。
 しかし、実際には、
 具体的事情により順位は決定される。

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  第879条 (扶養の程度又は方法)

扶養の程度又は方法について、
当事者間に協議が調わないとき、
又は協議をすることができないときは、
扶養権利者の需要、扶養義務者の資力
その他一切の事情を考慮して、
家庭裁判所が、
これを定める。


・ 扶養の順序と同じく、
 まずは当事者間の協議。そして家裁。

・ 要扶養者の困窮状態、扶養義務者の資力、
 扶養当事者の年齢、性、職業、家族構成、親族関係の遠近
 その他一切の事情を考慮する。

・ 扶養の方法(扶養義務の履行の形態)には、
 引取扶養と給付扶養の二つがある。

冷淡な者は常に義務を免れ、
情け深い者は常に損をするおそれがある。


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  第880条 (扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)

扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の
順位又は扶養の程度若しくは方法について
協議又は審判があった後
事情に変更を生じたときは、
家庭裁判所は、
その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。


・ 878,879により、協議または審判があった場合に、
 事後に扶養に関する事情が変わった場合の条文。

・ この取消し、変更は、
 その基準とされた事情に変更が生じ、
 従来の協議又は審判の内容が実情に適合せず、
 不公平になった場合に限られる。
 
 決定当時、当事者に既に判明していた事情や、
 予見しえた事情を理由とすることはできない。

  第881条 (扶養請求権の処分の禁止)

扶養を受ける権利は、処分することができない。


・ 一身専属的権利(その人だけに属する権利)である。

・ 父母が離婚に際し
 子の養育費は請求しないという約束を結んだとしても、
 法律上は有効ではない。

 


扶養・・・

大家族であれば吸収できた一部の弱者に対する負担も、
権利意識が強く家族構成が小さい現在、
誰がどのように負担するかは難しい問題ですね。

社会保障の小さな日本です。
生活保護等と絡め
今後どういう方向に進んでいくのでしょうか。



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