忍者ブログ
親族相続法の私家版復習ノート
[14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  第903条 (特別受益者の相続分)

① 共同相続人中に、
 被相続人から、
 遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは
 生計の資本として贈与を受けた者があるときは、
 被相続人が
 相続開始のときにおいて有した財産の価額に
 その贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、
 前三条の規定により算出した相続分の中から
 その遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもって
 その者の相続分とする。

② 遺贈又は贈与の価額が、
 相続分の価額に等しく、又は
 これを超えるときは、
 受遺者又は受贈者は、
 その相続分を受けることが出来ない。

③ 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、
 その意思表示は、
 遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、
 その効力を有する。


902条は、
相続される者の意思で各相続人の具体的事情を考慮して
相続分自体を変更できるとするが、
本条は、
相続分の計算をする際に、
相続される者の意思に反しない限りで、
各相続人が相続される者から受けた財産的利益を
計算に入れることにより、
各相続人間の具体的公平を図ろうとするもの。

・ 相続を放棄した者は相続人でなかったことになるから(939)
 その者の受けた贈与や遺贈は
 計算に入れない。

・ 遺産の前渡しという意思が推測される者に限る。
 つまり、
 特別に可愛がられて小遣いを多く貰った、
 他の兄弟は国立大学だが、一人だけ私立大学に行った、
 というものまで含ませる必要はないが、
 ケースバイケース。

・ 本条は、
 相続される者の意思を推測して
 なるべくその遺志に沿うようにするためのものである。
 例えば、
 一人息子に多くの資本を出していた場合、
 その者に、相続させる財産を
 予め分けておくつもりだったと考えるのが、
 相続される者の意思にあうだろうと推測し、
 このような計算をする。

・ 持戻し免除の意思表示に
 特別の方式はない。
 遺言によらなくても、
 被相続人の生前の言動に示されていればよい。
 また、
 直接に持ち戻し免除の意思を表示していなくても、
 生前贈与に言及せずに、
 遺産について遺言で相続人の相続分を指定している場合なども、
 間接にモチモドシを免除したとみられうる。

 遺贈の持ち戻し免除は、
 遺贈が遺言によってなされるから、
 遺言によらなければならない。

・ 持戻し免除は、
 他の共同相続人の遺留分を害してはならないが、
 遺留分を害する持戻し免除が、
 その限度で当然に効力がなくなるのではなくて、
 遺留分を害された相続人は
 その取戻しを請求できるだけだとされている。

903条による証明書
「・・・私は、被相続人の生前既に
 相続分に相当する贈与を受けておりますので、
 受ける相続分はありません。・・・」

美味しいコーヒーで 一息

PR

  第904条 (特別受益者の相続分その2)

前条に規定する贈与の価額は、
受贈者の行為によって、
その目的である財産が滅失し、又は
その価格の増減があったときであっても、
相続開始のときにおいてなお
現状のままであるものとみなして
これを定める。


903条の贈与された財産を評価するには、
贈与された財産が当時のまま存在するものとして
時価評価するのが原則。


・ 天災や、類焼などの他人の行為により
 贈与された財産が滅失した場合には、
 計算に入れない。
 何ももらわなかった者と同様に取扱う。

・ 過去にもらった金銭などは、
 物価指数による換算をする必要があるだろう。

  第904条の2 (寄与分)

① 共同相続人中に、
 被相続人の事業に関する労務の提供又は
 財産上の給付、
 被相続人の療養看護その他の方法により
 被相続人の財産の維持又は
 増加について
 特別の寄与をした者があるときは、
 被相続人が
 相続開始の時において有した財産の価額から
 共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を
 控除したものを
 相続財産とみなし、
 第九百条から第九百二条までの規定により
 算定した相続分に
 寄与分を加えた額をもって
 その者の相続分とする。

② 前項の協議が調わないとき、又は
 協議をすることができないときは、
 家庭裁判所は、
 同項に規定する寄与をした者の請求により、
 寄与の時期、方法及び程度、
 相続財産の額その他一切の事情を考慮して、
 寄与分を定める。

③ 寄与分は、
 被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から
 遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。

④ 第二項の請求は、
 第907条第二項の規定による請求があった場合又は
 第910条に規定する場合にすることができる。

 

907 遺産の分割の協議又は審判等
910 相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権

相続の基礎となる財産に差し引いて

・ 相続人でない者は、
 被相続人の生前に、
 その財産の維持・増加に貢献していたとしても、
 寄与分を認められない。

 長男の妻の貢献は、
 長男の履行補助者として
 長男の寄与分を計算するにあたり考慮する。

・ 相続放棄、欠格・廃除による場合も、
 寄与分は認められない。

・ 代襲相続人は、
 自分の寄与分とともに、
 代襲される者の寄与分を求めることが出来る。

・ 相続分の譲受人も、
 譲渡相続人の寄与分を主張することは出来ないとされる。

・ 寄与分が認められるためには、
 特別の寄与でなければならない。
 一般的な義務(730=親族間の扶け合い 等)を超えるもの。

・ 寄与は財産の維持又は増加についてのものであり、
 日常訪問して慰めてやったとか、
 話し相手になったとかの
 非財産的な貢献は含まれない。

  第905条 (相続分の取戻権)

① 共同相続人の一人が
 遺産の分割前に
 その相続分を第三者に譲り渡したときは、
 他の共同相続人は、
 その価額及び費用を償還して、
 その相続分を譲り受けることが出来る。

② 前項の権利は、
 一箇月以内に行使しなければならない。


狭義の共有(898)


・ 買戻すには、
 相続分の評価額と譲り受けた者が支出した調査等の費用を提供して、
 買戻すと言えばよい。
 譲り受けた者の承諾は要らない。

 譲り受けた者が金を受け取らないときは
 供託する。

 譲渡した相続人の相続分の評価額であるから、
 譲り受けた者の支払った代金とは一致しない。

・ 譲り受けた者は、
 譲渡した相続人に替わり、
 債務等も負担し、
 遺産分割にも加わる。


相続の手続きは税金に関するものなどを除き、
期限がないものが多いが、
いつまでも遺産分割協議をせずに、
例えば
相続による土地の所有権変更の登記などをせずにいると、
いきなり、聞いたこともない不動産会社の名前が、
登記簿に載っていたりすることもある。

亡くなられた方を悼みつつ、
それでも
相続手続きは、
スムースに終わらせたいものです。

2月が、、、 逃げた。

第3節 遺産の分割


 
 第906条 (遺産の分割の基準)

遺産の分割は、
遺産の属する物又は
権利の種類及び性質、
各相続人の年齢、職業、心身の状態び生活の状況
その他一切の事情を考慮して
これをする。

 

 遺産分割は、
共同相続人の共有となっていた遺産(898)を、
相続分に応じて、誰が何を取るかを決め、
各相続人に分配すること。


分割の方法

① 被相続人が遺言で定めるか、
 第三者に定めることを依頼した場合には、
 それに従う(908条・・・指定による分割)。

② 遺言がない場合は、
 共同相続人全員の話し合いによっておこなう(907-1)。

③ 話し合いがまとまらない場合やそれが出来ない場合には、
 家庭裁判所に申し立て、
 分割の仕方を決めてもらう(907-2)。

福岡市の高齢者向け施策・サービス

  第907条 (遺産の分割の協議又は審判等)

① 共同相続人は、
 次条の規定により
 被相続人が遺言で禁じた場合を除き、
 いつでも、
 その協議で、
 遺産の分割をすることができる。

② 遺産の分割について、
 共同相続人間に協議が調わないとき、又は
 協議をすることができないときは、
 各共同相続人は、
 その分割を
 家庭裁判所に請求することができる。

③ 前項の場合において
 特別の事由があるときは、
 家庭裁判所は、
 期間を定めて、
 遺産の全部又は一部について、
 その分割を禁ずることができる。

 

遺産の分割の協議 = 遺産分割協議

・ 相続が始まってからは、
 共同相続人は、全員の話し合いによって、
 いつでも、自由に、
 遺産を分配することが出来る。
・ 分割の協議の結果を遺産分割協議書に作成し、
 相続人全員で署名押印する。

・ 相続人の中に無能力者がいる場合は、
 法定代理人が代理するが、
 例えば、
 母と未成年の子が相続人の場合は、
 利益相反行為であることから、
 母の意図やその実質的効果が
 衡平を欠く内容でなくても
 家庭裁判所に
 特別代理人の選任を申し立てなければならない。
 (826)
 
 
・ 相続人の中に行方不明者がいる場合や、
 全く話し合いに応じようとしない者がいる場合には、
 家庭裁判所に分割の審判を
 申し立てることになる。
 審判の手続きは、家事審判法→家事事件手続法。

・ 行方不明者については、
 失踪宣告(30条、 通常7年)により、
 死亡したものとすることができる。

・ 遺産分割を申し立てるのは、
 相続人のうちの一人でも良い。

・ 胎児がある場合や、
 債務を整理してからでないと
 分割に適さない相続財産である場合等には、
 家庭裁判所は期間を定めて、
 分割を禁止することができる。


遺産の分割方法

① 現物分割
 ex. 土地はA、貯金はB
② 換価分割
 ex. 現物を分割できないときや
   分割すれば著しく価値が下がるとき
③ 債務負担(代償分割)
④ 共有
⑤ 一方を所有者とし、
 他方を用益権者又は賃借権者とする
⑥ 企業財産を、
 各共同相続人が相続分に応じて出資したこととし、
 会社組織にする。
 共同経営にし、配当を得る。


美味しいコーヒーで ほっと一息

  第908条 (遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)

被相続人は、
遺言で、
遺産の分割の方法を定め、
若しくは
これを定めることを
第三者に委託し、又は
相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、
遺産の分割を禁ずることができる。

 

・ 分割方法の支持は、
 目録を作りそれぞれの取得者を定めるものから、
 大まかな指定でも構わない。
・ 分割方法を指示した結果、
 法定相続分どおりにならない場合は、
 相続分をも指定したことになる。

・ 分割方法を定めることを依頼された第三者は、
 906条にしたがって、
 分割方法を定めなければならない。

・ 相続人である子が未成年の場合など、
 5年を超えない期間内で、
 遺産の分割を禁止する遺言をのこすことができる。
 
 5年を超える期間を定めた場合、
 超えた分が無効であるが、
 さらに分割をしない必要がある場合には、
 相続人が家庭裁判所に
 分割禁止の申し立てをすればよい。


福岡の車庫証明

  第909条 (遺産の分割の効力)

遺産の分割は、
相続開始の時にさかのぼって
その効力を生ずる。
ただし、
第三者の権利を害することはできない。


・ 相続人の一人が、
 分割前に遺産を処分したときは、
 他の相続人は、
 代償請求権を持つ。

  第910条 (相続の開始後に認知された者の価額の支払い請求権)

相続の開始後認知によって相続人となった者が
遺産の分割を請求しようとする場合において、
他の共同相続人が
既にその分割その他の処分をしたときは、
価額のみによる
支払いの請求権を有する。

 

相続が始まって後に認知によって相続資格を取得する場合

① 父親死亡後に認知の訴えを起こし、認知された場合。
② 父親生存中から認知請求をしていたが、
 死後に認められた場合。
③ 遺言で認知されていた場合
                      など

・ 父親が死亡してから祖父が死亡した場合に、
 認知の請求が認められれば、
 父親を代襲し、
 祖父をも相続できる。

・ 認知されれば、
 出生のときにさかのぼり効力を生じるから、
 相続が始まったときから相続人であったことになり、
 この者を除外してなされた遺産分割は無効であるが、
 価額の償還だけを認めた。
・ 価額の算定は、請求時の時価による。
 
・ 認知された後に遺産分割をする場合には、
 本条の適用はない。

・ 被相続人に子が無いものとして、
 その兄弟姉妹により相続が行われた場合、
 被相続人に子があれば、
 兄弟姉妹は相続人とはなれない。
 よって、
 認知された子は、
 相続回復請求(884・・・5年、20年)
 ができる。 
 



忍者ブログ [PR]
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ポイント広告
バーコード
アクセス解析
カウンター