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親族相続法の私家版復習ノート
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  第1017条 (遺言執行者が数人ある場合の任務の執行)

① 遺言執行者が数人ある場合には、
 その任務の執行は、
 過半数で決する。ただし、
 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、
 その意思に従う。

② 各遺言執行者は、
 前項の規定にかかわらず、
 保存行為をすることができる。


・ 遺言執行者が数人ある場合に、
 共同でなければ執行できないとすると
 遺言執行に支障をきたすため。

・ 多数決で可否同数の場合は、
 家庭裁判所による執行者の選任を
 認めるよりほかないと解されている。

・ 保存行為
  相続財産の滅失や毀損を防いで、
 その現状を維持する行為
 すなわち、
 家屋の修繕、腐敗物品の換価処分、
 消滅時効を中断する
 期限到来の債務の弁済など。

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  第1018条 (遺言執行者の報酬)

① 家庭裁判所は、
 相続財産の状況その他の事情によって
 遺言執行者の報酬を定めることができる。
 ただし、
 遺言者が
 その遺言に報酬を定めたときは、
 この限りでない。

② 第648条第2項及び第3項の規定は、
 遺言執行者が報酬を受けるべき場合について
 準用する。


・ 遺言の執行には、
 相当な法律的、経済的知識を必要とし、
 日数やや労力を要する実情に鑑み、
 単なる好意や信頼関係だけに依存するのは適当ではないので、
 遺言執行者に報酬が与えられることになる。
 
・ 報酬額は、
 遺言者が遺言で定めていたときはそれに従い、
 そうでない場合は、
 家庭裁判所が裁量により決定する。


・ 648-2,3(受任者の報酬)

② 受任者は、報酬を受けるべき場合には、
 委任事務を履行した後でなければ、
 これを請求することができな。
 ただし、
 期間によって報酬を定めたときは、
 第624条第2項の規定を準用する。

③ 委任が受任者の責めに帰することができない事由いよって
 履行の中途で終了したときは、
 受任者は、
 既にした履行の割合に応じて
 報酬を請求することができる。

  第1019条 (遺言執行者の解任及び辞任)

① 遺言執行者がその任務を怠ったとき
 その他正当な事由があるときは、
 利害関係人は、
 その解任を家庭裁判所に請求することができる。

② 遺言執行者は、
 正当な事由があるときは、
 家庭裁判所の許可を得て、
 その任務を辞することができる。


・ 遺言執行者が相続財産に属する
 家屋の家賃の支払いを催告する義務があるにもかかわらず
 これを怠った。
・ 遺言執行者が遺産の所有権を主張する者に対して
 訴えを起こしておりながら、
 その訴訟の途中で、相続人らに迎合して、
 受遺者に不利な内容の示談をして
 訴えを取り下げた。
・ 遺言執行者として職務上の過怠を指摘されなくても
 一部も相続人と緊密な関係にあって、
 相続人全員の信頼を得られないことが明らか。
・ 相続人の一部と意を通い、
 その者の利益代表者のようなふるまいをし、
 相続人間の争いを激化させる言動をした。

 など。

・ 病気や多忙、海外出張など。

  第1020条 (委任の規定の準用)

第654条及び第655条の規定は、
遺言執行者の任務が終了した場合について
準用する。


・ 遺言執行者は、
 急迫の事情がある場合には、
 遺言執行の任務終了後においても、
 相続人等が必要な事務を行えるようになるまで
 管理を継続し必要な処分を行わなければならない。

  遺言執行の任務終了は、
 相手方に通知しなければ、
 そのことを知らない相手方に対抗できない。

  第1021条 (遺言の執行に関する費用の負担)

遺言の執行に関する費用は、
相続財産の負担とする。
ただし、
これによって遺留分を減ずることができない。


・ 遺言書検認申請の費用(1004)
  相続財産目録調整の費用(1001)
  相続財産を管理する費用(1012)
  遺言執行者の報酬(1018)
  など

・ 遺贈と遺言執行費用により遺留分を害される場合は、
 遺言で利益を受けるものが侵害分を負担する。

 第5節 遺言の撤回及び取消し


  
第1022条 (遺言の撤回)

遺言者は、いつでも、
遺言の方式に従って、
その遺言の全部又は
一部を撤回することができる。


・ 遺言の撤回には何らの理由も必要ない。
・ 相続人や受遺者が遺言の内容を知っていても、
 その者の了解などを得る必要もなく、
 自由に撤回することが出来る。

・ 撤回は、遺言の全部でもその一部でも差支えない。
・ 法定の方式であればどの方法でも構わない。
 ex.
 公正証書遺言の一部あるいは全部を
 自筆証書遺言によって撤回すれば、
 前にした公正証書遺言の撤回された部分は無効。

 

久しぶりに更新です。

  第1023条 (前の遺言と後の遺言の抵触等)

① 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、
 その抵触する部分については、
 後の遺言で前の遺言を
 撤回したものとみなす。

② 前項の規定は、
 遺言が遺言後の生前処分その他の
 法律行為と抵触する場合について
 準用する。


・ 遺言は遺言者死亡の時の最終の意思であるから、
 内容が矛盾する二つの遺言がる場合には、
 後の遺言の内容が最終意思と推測される。

・ 遺言内容と矛盾する生前処分をしたような場合には、
 このような行為をする遺言者が、
 前の遺言を撤回する意思をもっていると推定する。

  第1024条 (遺言書又は遺贈の目的物の破棄)

遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、
その破棄した部分については、
遺言を撤回したものとみなす。
遺言者が故意に
遺贈の目的物を破棄したときも、
同様とする。


・ 例えば、
 遺言中の文字を抹消した場合に、
 もとの文字を読み取ることが出来る程度の抹消では
 破棄ではなく、遺言の訂正であるが、
 それは一定の形式を備えなければ、
 もとの文字が効力を持つ。
 (968条2項、970条2項、982条)

・ 遺言者が依頼もしない第三者が、
 遺言書を破棄していることを知りながら放置している場合は、
 遺言者が破棄したとみなす。

・ 公正証書遺言の破棄については、
 遺言者が自分の手元にある正本を破棄しても
 撤回の効力はなく、
 原本を破棄した場合に限られる。

・ 遺言者が故意に遺贈の目的物を焼却したり、
 その他の方法で経済的価値を無くしてしまった場合、
 その部分は、同様に破棄されたものとみなす。
 しかし、
 依頼されない第三者が破棄した場合に、
 遺言者がその第三者に対して
 賠償金などを請求する権利を有する場合は、
 その権利が遺贈の目的とされたと推定される。
 (999条 遺贈の物上代位)

  第1025条 (撤回された遺言の効力)

前3条の規定により撤回された遺言は、
その撤回の行為が、
撤回され、取り消され、又は
効力を生じなくなるに至ったときであっても、
その効力を回復しない。
ただし、
その行為が詐欺または強迫による場合は、
この限りでない。


・ 遺言の撤回、
 遺言内容の抵触、
 遺言書・遺贈目的物の破棄
 の規定により撤回された遺言は、
 「撤回の遺言を撤回します」という
 意思表示がされたような場合であっても、 
 有効な遺言に戻るわけではない。

 ただし、諸説あり。

  第1026条 (遺言の撤回権の放棄の禁止)

遺言者は、
その遺言を撤回する権利を
放棄することができない。


・ 遺言者が遺言を撤回する権利を常に保有しているのは、
 遺言制度が遺言者の最終意思を尊重し、
 法的効果を与えることを目的とするから。



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