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親族相続法の私家版復習ノート
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  第893条 (遺言による推定相続人の廃除)

被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、
遺言執行者は、
その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、
その推定相続人の廃除を
家庭裁判所に請求しなければならない。
この場合において、
その推定相続人の廃除は、
被相続人の死亡のときにさかのぼって
その効力を生ずる。


・ 「廃除」という文言が遺言の中になくても、
 廃除の趣旨が表現されていれば良い。

・ 相続分を0にする指定と相続廃除
   大阪高決昭37.5.11

・ 廃除の審判が確定するまでの遺産の管理は、
 895条

・ 遺言の発見が遅れ、
 既に遺産の分配が終わっている場合等は、
 884(相続回復請求権)。

・ 遺言執行者の指定がない場合は、
 他の相続人などが家裁に遺言執行者の選任請求をする。(120531)

・ 推定相続人が廃除となりその直系卑属がいる場合には
 その者が代襲相続人となるので、基礎控除額が増える場合もある。

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  第894条 (推定相続人の廃除の取消し)

① 被相続人は、いつでも、
 推定相続人の廃除の取り消しを
 家庭裁判所に請求することができる。

② 前条の規定は、
 推定相続人の廃除の取消しについて準用する。

 

・ 遺言で廃除の取り消しをする場合には、
 遺言執行者が取消しの審判を申立てる。

・ 廃除を取消す理由は問われない。

・ 廃除の取り消しを請求できるのは、
 相続される者のみ。

・ 廃除の取消しの審判が確定すれば、
 相続が始まったときに遡って、
 相続資格が回復する。

  第895条 (推定相続人の廃除に関する審判確定前の遺産の管理)

① 推定相続人の廃除又は 
 その取り消しの請求があった後
 その審判が確定する前に相続が開始したときは、
 家庭裁判所は、
 親族、利害関係人又は検察官の請求によって、
 遺産の管理について必要な処分を命ずることができる。
 推定相続人の廃除の遺言があったときも、
 同様とする。

② 第27条から第29条までの規定は、
 前項の規定により
 家庭裁判所が遺産の管理人を選任した場合について
 準用する。


不在者の財産管理に関する規定
27条 管理人の職務
28条 管理人の権限
29条 管理人の担保提供及び報酬

 遺産の管理についての必要な処分を
 家庭裁判所に請求できる者
・ 被相続人の親族(相続人でなくても良い)
・ 利害関係を持つ者。
  被相続人の債権者
  相続人の債権者
  遺贈を受けた者
  遺言執行者   など
・ 検察官

・ 遺産の管理人の職務、権限は、
 不在者の財産管理人と同じ。
 将来確定される相続人の法定代理人として
 職務に当たる。


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第3章 相続の効力

第1節 総則

  第896条 (相続の一般的効力)

相続人は、
相続開始のときから、
被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
ただし、
被相続人の一身に専属したものは、
この限りでない。


・ 身元保証債務は相続されないが、
 保証人の死亡以前に損害が生じているときは、
 その賠償義務は、
 通常の金銭債務として相続される。

・ 罰金納付義務は相続されるという判例がある。
 しかし、
 罰金や科料は一種の刑罰であるから、
 相続されないとすべき。

・ 委任契約は
 当事者間の信頼関係に基づくものであり、
 その地位の相続は認められない(653)。

・ 生命保険金請求権については後日。

・ 遺族年金は、特別法により
 死亡したものと一定の関係のある生存者に対して、
 年金の形で支給されるものである。
 遺族年金の支給を受ける者は、
 被相続人の権利を承継するのではなく、
 相続財産ではないが、
 遺産分割の際に考慮してよい。

 生命保険金と異なり、
 相続税は課されない。

・ 死亡退職金は、
 遺産に属するものではないが、
 遺産分割の際には、
 特別受益分として考慮したい。

 相続税は課される。

・ 香典は相続財産に含まれない。

・ 相続に関する権利義務
 他の相続人の取戻権(905)
 相続回復請求権(884)
 遺留分減殺請求権(1031)
 相続の承認又は放棄(916)
 などは、
 相続される。

・ 相続財産に対する被相続人の取得費と所有期間は
 相続人が引き継ぐ。
・ 被相続人が青色申告の承認を受けていた場合、
 事業を承継した相続人は、あらためて青色申告の承認を受ける。(120820)

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  第897条 (祭祀に関する権利の承継)

① 系譜、祭具及び墳墓の所有権は、
 前条の規定にかかわらず、
 慣習に従って
 祖先の祭祀を主催すべきものが承継する。
 ただし、
 被相続人の指定に従って
 祖先の祭祀を主催すべき者があるときは、
 その者が承継する。

② 前項本文の場合において
 慣習が明らかでないときは、
 同項の権利を承継すべき者は、
 家庭裁判所が定める。

 

過去帳、位牌、遺骨etc・・・祭祀財産

・ 相続される者がする承継者の指定
 必ずしも遺言による必要はなく、
 口頭でも良い。

・ 承継者は相続人以外の者でも良いが、
 特別の事情がなければ、
 一人に限られる。

・ 相続財産から除外されるため、
 相続人が、
 限定承認や放棄をしても、
 祭祀に関する承継には影響しない。

・ 相続財産から除外されるが、
 祭祀を承継することは、
 物心両面の負担があるから、
 相続される者が、承継者を指定する際に、
 遺贈などで、
 遺産を余分に与えること等を考慮するのがよい。

  第898条 (共同相続の効力)

相続人が数人あるときは、
相続財産は、
その共有に属する。


相続が始まってから、
誰が何を相続するか確定するまでの規定。

判例では、
合有や総有ではなく、
狭義の共有であるとされる。

・(狭義の)共有
何人かの人が一つのものに対してそれぞれ持分を持っており、
各人はこの持分を自由に処分できる。

・合有
各自がそれぞれ持分はもっているが、
その持分を自由に処分したりあるいは
分割請求することができない所有形態

・総有
各自に持分すら認められていないもので、
そのため持分の処分や分割請求といったことが問題にならない。

・ 不動産を相続する際には注意が必要。

・相続人の一人が相続財産である家屋を単独で使用する場合、
他の相続人は明け渡し請求ができないので
→ 遺産分割の請求 or 使用料相当の収益に対する不当利得返還請求(120820)

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  第899条 (共同即族の効力・その2)

各共同相続人は、
その相続分に応じて
被相続人の権利義務を
承継する。

 

・ 898条で相続人の共有とされた
 分割前の遺産に対する各相続人の持分は、
 相続分の割合(900~)により、
 通常の共有のように、
 持分が等しいと推定される(250)ことはない。

・ 遺産分割において債務を承継するものを定めても、
 それは相続人内部の合意であって、債権者には対抗できない。
 ex. 銀行との間で免責的な債務引き受け契約を締結し、
 債務の承継者を確定させるなければ、
全ての相続人が相続分に応じて債務を負担し続けることになる。(120820)


 

第2節 相続分

 

  第900条 (法定相続分)

同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、
次の各号に定めるところによる。

1 子及び配偶者が相続人であるときは、
 子の相続分及び配偶者の相続分は、
 各二分の一とする。

2 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、
 配偶者の相続分は、三分の二とし、
 直系尊属の相続分は、三分の一とする。

3 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、
 配偶者の相続分は、四分の三とし、
 兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。

4 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、
 各自の相続分は、
 相等しいものとする。
 ただし、 << 20131211削除 >>
 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、
 父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の
 二分の一とする。


相続分・・・相続財産全体に対する相続人の権利・義務の割合

・ 被相続人が、
 相続人の相続分を決める遺言をのこしていないときは、
 各相続人の相続分は、
 この規定により決まる。
・ 相続人が一人の場合、
 その一人が全てを相続する。

・ 被相続人(父)に対する、
 先妻の子と後妻の子の相続分は変わらない。

・ 兄弟姉妹の相続分は、
 全血か半血かで差があるが、
 嫡出であるかどうかは、
 相続分に影響しない。

・ 実方の兄弟姉妹と養方の兄弟姉妹の間にも
 相続分の差異はない。


 相続される人(被相続人)が、
遺言により意思を表明していなかった場合に、
相続分として定められた割合を基準として
遺産を分配することになる。
 相続される人とのこされた者との権利を調和するために
遺留分1028~(相続人の最低限の相続権)を規定している。


2013年12月11日、第4号但し書き部分の
================
 嫡出でない子の相続分は、
 嫡出である子の相続分の二分の一とし、
================
 が削除されました。
 これにより、婚外子と嫡出子の相続分が同じとなります。
平成25年9月5日以後に開始した相続で適用されます。
もっとも、平成25年9月4日の最高裁判所の違憲決定があることから、平成13年7月1日以後に開始した相続についても、既に遺産分割が終了しているなど確定的なものとなった法律関係を除いては、嫡出子と嫡出でない子の相続分が同等のものとして扱われることが考えられます。詳細は、法務省

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  第901条 (代襲相続人の相続分)

① 第887条第二項又は第三項の規定により
 相続人となる直系卑属の相続分は、
 その直系尊属が受けるべきであったものと
 同じとする。
 ただし、
 直系卑属が数人あるときは、
 その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、
 前条の規定に従って
 その相続分を定める。

② 前項の規定は、
 第889条第二項の規定により
 兄弟姉妹の子が相続人となる場合について
 準用する。


887(子及びその代襲者等の相続権)
889(直系尊属および兄弟姉妹の相続権)


・ 兄弟姉妹に代わって、
 その子(被相続人の甥・姪)が相続する場合も、
 兄弟姉妹の相続分をその子らが頭数で等分する。

  第902条 (遺言による相続分の指定)

① 被相続人は、
 前二条の規定にかかわらず、
 遺言で、
 共同相続人の相続分を定め、
 又はこれを定めることを
 第三者に委託することができる。
 ただし、
 被相続人又は第三者は、
 遺留分に関する規定に違反することができない

② 被相続人が、
 共同相続人中の一人若しくは
 数人の相続分のみを定め、
 又は
 これを第三者に定めさせたときは、
 他の共同相続人の相続分は、
 前二条の規定により定める。

 

900条法定相続分、901条代襲相続人の相続分


・ 法定相続分と違った相続の割合を定めるには、
 必ず遺言でしなければならない。
 口約束によるものがあったとしても、
 相続人のうち一人が、
 法定相続分で分けることを主張すれば、
 それまでである。

・ 相続分の指定は、
 本来抽象的割合を定めることであるが、
 実際には、
 具体的財産の分け方を指定する場合がある。
 その場合は、
 遺産の分け方を指定するとともに、
 相続分をも指定したものとする。908

・ 指定された相続分どおりに分割すると、
 遺留分を侵害される相続人が出る場合があるが、
 遺留分の規定に反する場合にも、
 相続分の指定が無効になるわけではなく、
 その相続人が不足分を
 取り戻すことができる(1028~)
 ということである。

・ 相続される者の債権者は、
 相続分の指定に拘束されることはない(899)。
 債務だけの相続分を別に指定することはできない。

お金を人に貸す前に読んでおきましょう



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