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親族相続法の私家版復習ノート
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  第931条 (受遺者に対する弁済)

限定承認者は、
前二条の規定に従って
各相続債権者に弁済をした後でなければ、
受遺者に弁済をすることができない。 

 

・ 借金を返せないような被相続人が
 遺言によって誰かに贈与する余裕などない。
 財産隠しのために
 限定承認が悪用されないため。

・ この順序に反した場合、
 限定承認者と受遺者に
 責任が生じることがありうる(934条)

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  第932条 (弁済のための相続財産の換価)

前三条の規定に従って弁済をするにつき
相続財産を売却する必要があるときは、
限定承認者は、
これを競売に付さなければならない。
ただし、
家庭裁判所が選任した鑑定人の
評価に従い
相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、
その競売を
止めることができる。


・ 民事執行法の定める手続きによる。
・ 全ての債権は、
 金銭に換算して支払われる。

・ 相続人の主観的価値が
 相続債権者の客観的価額よりも大きく、
 手放したくない場合には、
 自らの財産より支払うことにより
 競売を阻止できる。

・ 相続財産の上に先取特権、質権、抵当権
 などを持っている債権者が、
 それらの担保物件によって競売をする場合には、
 限定承認をした相続人が本庄但し書きによって
 その競売を止めさせることはできない。

  第933条 (相続債権者及び受遺者の換価手続きへの参加)

相続債権者及び受遺者は、
自己の費用で、
相続財産の競売又は
鑑定に
参加することができる。
この場合においては、
第260条第2項の規定を準用する。


・ 参加するとは、
 立ち会うことができるにとどまる。

・ 260条(共有物の分割への参加)
① 共有物について権利を有する者及び
 各共有者の債権者は、自己の費用で、
 分割に参加することができる。
② 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、
 その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、
 その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

・ 260条2項の「対抗することができない」とは、
 競売や鑑定自体は無効にならないが、
 相続債権者や受遺者は、
 損害賠償を請求することができる
 ということ。

  第934条 (不当な弁済をした限定承認者の責任等)

① 限定承認者は、
 第927条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は
 同条第1項の期間内に
 相続債権者若しくは受遺者に
 弁済をしたことによって
 他の相続債権者若しくは受遺者に
 弁済をすることができなくなったときは、
 これによって生じた損害を
 賠償する責任を負う。
 第929条から第931条までの規定に違反して
 弁済をした時も、
 同様とする。

② 前項の規定は、
 情を知って
 不当に弁済を受けた相続債権者又は
 受遺者に対する
 他の相続債権者又は受遺者の
 求償を妨げない。

③ 第724条の規定は、
 前二項の場合について
 準用する。


724条 (不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、
被害者又はその法定代理人が
損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、
時効によって消滅する。
不法行為の時から20年を経過したときも、
同様とする。

  第935条 (公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)

 第927条第1項の期間内に
同項の申出をしなかった
相続債権者及び受遺者で
限定承認者に知れなかったものは、
残余財産についてのみ
その権利を行使することができる。
ただし、
相続財産について
特別担保を有する者は、
この限りでない。

 

・ まず929条(相続債権者)
 次に931条(遺贈を受けた者)
 その後の残余財産について本条。

・ 債権者及び受遺者に割合で支払った場合には、
 残余財産はゼロになっているはずだから、
 申し出なかった債権者及び受遺者で
 限定承認をした者に知られない者は、
 支払いを受けることができない。
 ただし、
 相続財産について担保物件(特別担保)を
 有している相続債権者、受遺者は、
 この規定に関係なく
 その担保物件を行使することにより
 優先弁済を受けることができる。

  第936条 (相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)

① 相続人が数人ある場合には、
 家庭裁判所は、
 相続人の中から、
 相続財産の管理人を選任しなければならない。

② 前項の相続財産の管理人は、
 相続人のために、これに代わって、
 相続財産の管理及び
 財務の弁済に必要な一切の行為をする。

③ 第926条から前条までの規定は、
 第一項の相続財産の管理人について
 準用する。
 この場合において、
 第927条第1項中
 「限定承認をした後5日以内」とあるのは、
 「その相続財産の管理人の選任があった後10日以内」と
 読み替えるものとする。


・ 923条より、
 共同相続人の全員一致でなされる限定承認であるが、
 相続財産の管理を全員共同でやるには大変なので、
 管理人を選んで管理や清算を行わせる。

・ この管理人は、
 遺産の管理、清算を行うことについて
 他の相続人の代理人ということになる。

  第937条 (法廷単純承認の事由がある場合の相続債権者)

 限定承認をした共同相続人の
一人又は数人について
第921条第1号又は第3号に掲げる事由があるときは、
相続債権者は、
相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、
当該共同相続人に対し、
その相続分に応じて
権利を行使することができる。


・ 限定承認は、
 全ての相続人が共同しないとすることはできないが、
 一人が単純承認をしたものとみなされる場合に、
 その他の相続人も
 単純承認したものとみなすには酷であるから、
 単純承認をしたとみなされた者だけに
 責任を負わせることにした。

・ 単純承認したものとみなされる相続人は、
 自己の法定相続分に従って相続したとみなされる
 マイナスの財産の限度で
 弁済の責任を負う。

おいしいコーヒーで 一服しましょ。

第2節 相続の放棄


  
第938条 (相続の放棄の方式)

相続の放棄をしようとする者は、
その旨を
家庭裁判所に申述しなければならない。


・ 被相続人が残した財産が負債ばかりで
 積極財産がない場合の
 相続人の保護のための規定であるが、
 負債を免れるためではなく、
 共同相続人のうちの特定の者に
 相続財産を集中させるために
 用いられる場合がある。
 もっとも、
 放棄の手続きをとった場合の
 相続税など
 メリットばかりではない。

・ 915、921・・・3か月以内に

  第939条 (相続の放棄の効力)

相続の放棄をした者は、
その相続に関しては、
初めから相続人とならなかったものとみなす。


・ 相続放棄をした者は、
 さかのぼって
 初めから一切相続には関係しなかったとみなされる。

・ 相続放棄をした相続人の子や孫に
 代襲相続することはない。

しかし
・ 親A、子B、孫Cがいたとして、
 まずBが死亡した。しかし、
 負債が多かったためにCは相続放棄の手続きをした。
 その後Aが死亡した場合。

 このケースでは、
 CはBを代襲してAを相続できる。

 代襲者は、
 被代襲者の子であることを要するだけで、
 その相続人であることを要しないから。

  第940条 (相続の放棄をした者による管理)

① 相続の放棄をした者は、
 その放棄によって相続人となった者が
 相続財産の管理を始めることができるまで、
 自己の財産におけるのと同一の注意をもって、
 その財産の管理を継続しなければならない。

② 第645条、第646条、第650条第1項及び第2項並びに
 第918条第2項及び第3項の規定は、
 前項の場合について
 準用する。

 

・ 相続の放棄をした者は、
 初めから相続人ではなかったとみなされるため、
 相続財産に対し何の権利も義務もないはずであるが、
 かといって放置しておくわけにもいかないので、
 繰り上がって相続人となる者のために、
 暫くの間遺産の管理の義務を負わしたもの。
 よって、
 自己の財産におけるのと同一の注意義務にとどまる。
 この限りにおいて、
 損害賠償の責任も負う。

・ 645 受任者の報告義務
  646 受任者の委託物引渡し義務
  650-1,2 受任者の費用償還請求権
  918-2,3 家庭裁判所による保全処分等



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