忍者ブログ
親族相続法の私家版復習ノート
[1] [2] [3]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  第925条 (限定承認をしたときの権利義務)

相続人が限定承認をしたときは、
その被相続人に対して有した権利義務は、
消滅しなかったものとみなす。


179条(混同)
① 同一物について
 所有権及び他の物権が
 同一人に帰属したときは、
 当該他の物権は、消滅する。
 ただし、
 その物又は当該他の物権が
 第三者の権利の目的であるときは、
 この限りでない。
② 所有権以外の物権及び
 これを目的とする他の権利が
 同一人に帰属したときは、
 当該他の権利は、消滅する。
 この場合においては、
 前項ただし書の規定を準用する。
③ 前二項の規定は、
 占有権については、適用しない。


520条(混同)
債権及び債務が
同一人に帰属したときは、
その債権は、消滅する。
ただし、
その債権が第三者の権利の目的であるときは、
この限りでない。


・ 限定承認は、
 相続財産と
 相続人が以前から持っている財産を
 分離して清算する制度であるから。

PR

  第926条 (限定承認者による管理)

① 限定承認者は、
 その固有財産におけるのと同一の注意をもって、
 相続財産の管理を継続しなければならない。

② 第645条、第646条、第650条第1項及び第2項並びに
 第918条第2項及び第3項の規定は、
 前項の場合について
 準用する。

645条 受任者の報告義務
646条 引渡し義務
650条1項、2項 受任者の費用償還請求権
918条2項、3項 家庭裁判所による保全処分


・ 限定承認をした者が
 相続財産の管理義務に違反した場合は、
 相続財産に対する債権者および
 遺言によって贈与を受けた者に対して
 損害賠償の責任が生じる。

  第927条 (相続債権者及び受遺者に対する広告及び催告)

① 限定承認者は、
 限定承認をした後5日以内に、
 全ての相続債権者
 (相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び
 受遺者に対し、
 限定承認をしたこと及び
 一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を
 公告しなければならない。
 この場合において、
 その期間は、
 二箇月を下ることができない。

② 前項の規定による公告には、
 相続債権者及び受遺者が
 その期間内に申出をしないときは
 弁済から除斥されるべき旨を
 付記しなければならない。
 ただし、
 限定承認者は、
 知れている相続債権者及び受遺者を
 除斥することができない。

③ 限定承認者は、
 知れている相続債権者及び受遺者には、
 各別にその申出の
 催告をしなければならない。

④ 第一項の規定による公告は、
 官報に掲載してする。


・ 限定承認が行われると、
 相続債権者や受遺者に多大な影響を及ぼすから。

・ 誰が相続債権者であるかや
 受遺者の所在不明の場合に官報の公告。
 公告の期間は、
 2か月以上であればよい。

  第928条 (公告期間満了前の弁済の拒絶)

限定承認者は、
前条第一項の期間の満了前には、
相続債権者及び受遺者に対して
弁済を拒むことができる。


・ 限定承認が行われるときは、
 マイナスの財産の方が多いのが普通であるから、
 公平な支払いをするためにも
 必要な満了期間である。

・ 申出期間内に支払うことによって
 他の債権者や受遺者に支払うことができなくなった場合、
 934条1項により損害賠償責任、
 同2項により、
 支払いを受けた債権者や受遺者に
 責任が生じることがある。

・ 相続財産の中に、
 先取特権、質権、抵当権などをもっている債権者が、
 それにより競売する場合には、
 債権の申出期間に制限されない。

  第929条 (公告期間満了後の弁済)

第927条第1項の期間が満了した後は、
限定承認者は、
相続財産をもって、
その期間内に同項の申出をした相続債権者その他
知れている相続先権者に、
それぞれの債権額の割合に応じて
弁済をしなければならない。
ただし、
優先権を有する債権者の権利を
害することはできない。


・ 特定の物を引渡す債権の場合でも、
 割合に応じて支払う必要があるときには、
 金額に換算して支払う。

・ 934条
 特定の債権者に
 割合以上の支払いをしてしまった相続人は、
 他の債権者に対して
 損害賠償の必要が生じ、又、
 支払いを受けた悪意の債権者に責任が生じることもある。

・ 931条
 債権者に支払いを終えた後でなければ
 遺言で贈与を受ける者に支払ってはならない。


295条  留置権
303条  先取特権
342条  質権
369条  抵当権

  第930条 (期限前の債務等の弁済)

① 限定承認者は、
 弁済期に至らない債券であっても、
 前条の規定に従って
 弁済をしなければらなない。

② 条件付きの債券又は
 存続期間の不確定な債権は、
 家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って
 弁済をしなければならない。


・ 相続財産の清算を
 早期に完了させるための規定。

・ 条件付きの債権の場合、
 その条件成就の可能性の大小により、
 価値が変わるが、
 条件成就が明らかになるまで待つことは
 清算を遅らせてしまう。
 そこで、
 家庭裁判所が選任した鑑定人が評価した額を
 支払うこととさせた。

  第931条 (受遺者に対する弁済)

限定承認者は、
前二条の規定に従って
各相続債権者に弁済をした後でなければ、
受遺者に弁済をすることができない。 

 

・ 借金を返せないような被相続人が
 遺言によって誰かに贈与する余裕などない。
 財産隠しのために
 限定承認が悪用されないため。

・ この順序に反した場合、
 限定承認者と受遺者に
 責任が生じることがありうる(934条)

  第932条 (弁済のための相続財産の換価)

前三条の規定に従って弁済をするにつき
相続財産を売却する必要があるときは、
限定承認者は、
これを競売に付さなければならない。
ただし、
家庭裁判所が選任した鑑定人の
評価に従い
相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、
その競売を
止めることができる。


・ 民事執行法の定める手続きによる。
・ 全ての債権は、
 金銭に換算して支払われる。

・ 相続人の主観的価値が
 相続債権者の客観的価額よりも大きく、
 手放したくない場合には、
 自らの財産より支払うことにより
 競売を阻止できる。

・ 相続財産の上に先取特権、質権、抵当権
 などを持っている債権者が、
 それらの担保物件によって競売をする場合には、
 限定承認をした相続人が本庄但し書きによって
 その競売を止めさせることはできない。

  第933条 (相続債権者及び受遺者の換価手続きへの参加)

相続債権者及び受遺者は、
自己の費用で、
相続財産の競売又は
鑑定に
参加することができる。
この場合においては、
第260条第2項の規定を準用する。


・ 参加するとは、
 立ち会うことができるにとどまる。

・ 260条(共有物の分割への参加)
① 共有物について権利を有する者及び
 各共有者の債権者は、自己の費用で、
 分割に参加することができる。
② 前項の規定による参加の請求があったにもかかわらず、
 その請求をした者を参加させないで分割をしたときは、
 その分割は、その請求をした者に対抗することができない。

・ 260条2項の「対抗することができない」とは、
 競売や鑑定自体は無効にならないが、
 相続債権者や受遺者は、
 損害賠償を請求することができる
 ということ。

  第934条 (不当な弁済をした限定承認者の責任等)

① 限定承認者は、
 第927条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は
 同条第1項の期間内に
 相続債権者若しくは受遺者に
 弁済をしたことによって
 他の相続債権者若しくは受遺者に
 弁済をすることができなくなったときは、
 これによって生じた損害を
 賠償する責任を負う。
 第929条から第931条までの規定に違反して
 弁済をした時も、
 同様とする。

② 前項の規定は、
 情を知って
 不当に弁済を受けた相続債権者又は
 受遺者に対する
 他の相続債権者又は受遺者の
 求償を妨げない。

③ 第724条の規定は、
 前二項の場合について
 準用する。


724条 (不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、
被害者又はその法定代理人が
損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、
時効によって消滅する。
不法行為の時から20年を経過したときも、
同様とする。



忍者ブログ [PR]
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ポイント広告
バーコード
アクセス解析
カウンター